2011年 04月 15日
4月15日
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スイスで活動していた頃、いくつかのワークショップを企画しましたが、その中でも一番クォリティーの高かったワークショップに「サイレントシャドウズ」という企画がありました。谷崎潤一郎の「陰影礼賛」に強いインスピレーションを受け企画したものですが、この「陰影礼賛」では、戦後日本が発展して行く中、谷崎が既に電気の照明と共に消えて行く、日本の文化に深く根ざした陰影を愛でる心を失う事へと強く警笛を鳴らし、憂えています。ワークショップの内容は、日本と欧米からアーティストを招き、約2週間程の滞在中、電気照明を一切消し、ロウソクやランプの光のみで過ごし、同時に言葉の交流も数日間止めてみるという、実験的な共同生活を体験する中、それぞれのアーティストが作品制作をし、最後に展示会を開き、会話のない、電気照明のない時間と空間を演出しました。これは参加したアーティストそれぞれにとって、大変刺激的な体験となりました。実際電気を消してみると、ロウソクやランプの光と影は、想像を超えた美しさであり、夕暮れとともに光が薄暗くなってゆく、そのプロセスを体で感じつつ闇の訪れを待つ、その神秘的な感覚は、私たちの五感をとても研ぎすませてくれました。今日ふとあの時のことを思い出し、ここに書いてみました。いつかまた、このワークショップを再企画したいなと思いました。
ご興味がある方は、こちらでもう少し、スイスでのサイレントシャドウズのワークショップの情報が見れます。
http://www.jourparjour.net/projects2008/shadows/shadows_jp.htm
http://www.jourparjour.net/works/work_at_the_moment/2008/silent-shadows1.htm
by nomadomura
| 2011-04-15 18:20